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「公用文作成の考え方」を読んだのでメモ (表記の原則)

2024/5/8
Poem

GW 2024 の自由研究ってことで文化審議会が作成した「公用文作成の考え方」を読みました。 内容・感想のメモを残しておこうと思います。

「公用文作成の考え方」について

「公用文作成の考え方」を読んだのでメモ (基本的な考え方)” を要参照。

この記事で扱う範囲

公用文作成の考え方

  • 基本的な考え方
  • 表記の原則 👈 ここ
    1. 漢字の使い方
    2. 送り仮名の付け方
    3. 外来語の表記
    4. 数字を使う際は、次の点に留意する
    5. 符号を使う際は、次の点に留意する
    6. そのほか、次の点に留意する
  • 用語の使い方
  • 伝わる公用文のために

以下、メモの本題。感想 (ただの独り言) は斜体で書く。

1 漢字の使い方

(1) 漢字使用の原則

ア 常用漢字表にある字種(漢字)や音訓を用いる

漢字の使用は「常用漢字表」に従う。

表にある漢字使う
表にあるが、採用されていない音訓使わない
表にない漢字使わない

「絆」が常用漢字ではないことを初めて知った…。

イ 字体は常用漢字表に示された通用字体を用いる

基本通用字体 (常用漢字表がそれぞれの字種を示すに当たって採用した字体)
常用漢字表外の漢字表外漢字字体表印刷標準字体
外国で用いられる漢字その字に対応する通用字体又は印刷標準字体に改める

ウ 固有名詞(地名・人名)には、常用漢字表にない漢字も使うことができる

  • 地名は通用している書き方
  • 人名は本人の意思に基づいた表記

書き換える場合は、通用字体・印刷標準字体を使う

エ 読み手への配慮に基づき、原則と異なる書き方をすることもできる

「原則とは異なる書き方」=「仮名に書き換える・振り仮名を振る」

(2) 常用漢字表の字種・音訓で書き表せない場合

(※ ×印は表にない漢字、△印は表にない音訓)

ア 仮名で書く

訓による語平仮名で書く嬉しい× → うれしい
音による語漢字を用いないで意味の通るものは、そのまま平仮名で書く御馳×走 → ごちそう

逆に、漢字を使わないと意味が通らない言葉の例が無くて困ったけれど、多分同音異義語が相当しそう。(「しこう」は好?思考?志向?)

動植物の名称は、

一般語として書くとき原則に従う(常用漢字表にある -> 漢字、ない -> 仮名)ねずみ
学術的な名称として書くとき片仮名で書くことが多い(慣例)ネズミ

イ 音訓が同じで、意味の通じる常用漢字を用いて書く

訓が同じパターンは意外なものが多い

  • 活△かす → 生かす
  • 仇× → 敵
  • 想△い → 思い
  • 哀△しい → 悲しい

音が同じパターンは易しい漢字を使っただけって感じ

  • 日蝕× → 日食
  • 脳裡× → 脳裏
  • 編輯× → 編集

ウ 常用漢字を用いた別の言葉で言い換える

  • 捺×印→押印
  • 誹×謗× → 中傷、悪口
    • “誹謗中傷” って言い換えが可能な熟語を並べているのか…。
  • 脆×弱な → 弱い、もろい漏洩×する → 漏らす
    • IT 系でよく使われる(良くはない)単語も書き換え対象

エ 表にない漢字だけを仮名書きにする、又は、振り仮名を付ける

(no comment)

オ 振り仮名は、原則として表にない漢字・音訓のみに付ける

読み手に配慮して、熟語全体に振り仮名を付すこともある。

振り仮名は見出しではなく本文部分に付すのが一般的である。

へ〜?

カ 振り仮名が使えない場合には、括弧内に読み方を示すこともできる

Markdown (マークダウン)向けだ!

(3) 常用漢字表に使える漢字があっても仮名で書く場合

2 送り仮名の付け方

ア 送り仮名は、「送り仮名の付け方」に基づく

送り仮名の付け方(昭和 48 年内閣告示第2号)」=「義務教育で学ぶ送り仮名の付け方」

送り仮名は漢字に添えて読み誤りを防ぎ、意味を明確にする効果がある。

送り仮名は「そうやって書くもの」として覚えていたので、明確に役割があること、今の基準が思ったより新しい(執筆時点でまだ 51年前)ことに驚いた

イ 読み間違えるおそれのない複合の語の名詞(186語)は、送り仮名を省く

186後の名詞許容を適用する入替え
それ以外の名詞・動詞本則に従う入れ替える

許容とは「読み間違えるおそれのない場合は,次の( )の中に示すように,送り仮名を省くことができる。」という決まり。

本則とは「複合の語(通則7を適用する語を除く。)の送り仮名は,その複合の語を書き表す漢字の,それぞれの音訓を用いた単独の語の送り仮名の付け方による。」という決まり。

職業柄、部分的に例外を認める運用にモヤる…。

ウ 文書の性格や読み手に配慮し、送り仮名を省かずに書くこともできる

学校教育では送り仮名を省かない表記を学ぶから、公用文の表記(送り仮名を省く)を見慣れない人もいる。

公用文表記の原則食品売場
学校教育で学ぶ表記食品売り場

常に省かない、に統一すれば良くない????????

3 外来語の表記

ア 外来語の表記は、「外来語の表記」(平成3年 内閣告示第2号)に基づく

外来語の表記 「外来語の表記」に用いる仮名と符号の表

日本語の音韻の範囲内で無理なく発音できる表記第1表バイオリン
原語に近く発音するための手掛かりとなる表記第2表ヴァイオリン

イ 日本語として広く使われている表記を用いる

  • ◯ セロハン (国語として定着している)
  • ✗ セロファン

バイオリン、ヴァイオリンはどちらが定着しているの…?(きりが無い疑問)

ウ 必要な場合には、原語の発音に近づくように書く

慣用がある場合、第2表を使う。

例)ウェイト ウェブ クォーク フュージョン

特に人名・地名など固有名詞は原音に近く書き表す慣用があり、例えば第2表のウィ、ウェ、ウォを用いた表記では、ウィリアム、ウェールズ、ウォール街などが広く用いられている。

一般の用語は、第1表に従って書くことが基本となる。

必要があって第2表に基づく場合には、一つの文書内で異同が生じないようにする。

例) 第1表によるもの ウイルス ウエディング ウオーター 等 第2表によるもの ウィルス ウェディング ウォーター 等

第2表によれば、バ行に「ヴァイオリン」「ヴェール」のように「ヴ」を使用できる (…) 原則として「バビブベボ」を用い、「ヴ」をむやみに使用することは慎む。

「ヴァイオリン」より「バイオリン」の方が良さそう

原語に近づけるため二つの表にない表記を用いることはしない。

例外にも限度がある

エ 長音は、原則として長音符号を使って書く

英語の語末の-er、-or、-ar などに当たるもの (…) -ty、-ry など、y で終わる語も長音符号を用いて書く。

「フォルダでカテゴリ分けする」vs 「フォルダーでカテゴリー分けする」問題の解決を迎えられて嬉しい

4 数字を使う際は、次の点に留意する

ア 横書きでは、算用数字を使う。

例)令和 2 年 11 月 26 日 午後 2 時 37 分 72% 電話:03‐5253‐****

イ 大きな数は、三桁ごとにコンマで区切る。

四桁以上の数は三桁ごとにコンマで区切って書く。

本文でも「大きな数字」ではなく、「四桁 (4桁じゃなくて?) 以上の数」と明確に書いて欲しい。

例)5,000 62,250 円 1,254,372 人

ウ 兆・億・万の単位は、漢字を使う。 例)5兆 100億 30万円

単位の漢字と算用数字を合わせて使う場合、数字だ けの場合とコンマの位置がずれることによる混乱を避けるため、コンマを省いてもよい。 例)1億 2,644 万 3,000 人 / 1億 2644 万 3000 人 (126,443,000 人)

必ず省略するルールの方が良いと思うけれど…。

エ 全角・半角は、文書内で使い分けを統一する。

(no comment)

オ 概数は、漢数字を使う。

算用数字で統一したい場合は、「20 人余り」「40~50 人」などと書き方を工夫する。

統一を促してほしかった

カ 語を構成する数や常用漢字表の訓による数え方などは、漢数字を使う。

キ 縦書きする場合には、漢数字を使う。

(no comment)

ク 縦書きされた漢数字を横書きで引用する場合には、原則として算用数字にする。

(no comment)

ケ 算用数字を使う横書きでは、「○か所」「○か月」と書く(ただし、漢数字を用いる場合には「○箇所」「○箇月」のように書く。)。

方向数字メモ
横書き算用数字「3か所」「7か月」 (常用漢字だけど) はダメ
横書き漢数字(概数)・「数箇所」「数十箇所」「何箇所」
縦書き漢数字「三箇所」「七箇月」

5 符号を使う際は、次の点に留意する

(1)句読点や括弧の使い方

ア 句点には「。」(マル)読点には「、」(テン)を用いることを原則とする。横書きでは、読点に「,」(コンマ)を用いてもよい。ただし、一つの文書内でどちらかに統一する。

従来の基準は、横書きでは「,」(コンマ)を使うことになっている。

句読点は,横書きでは「,」および「。」を用いる。

ref: 公用文作成の要領

一方、新しい基準では横書きも含めて句読点は「。」「、」を使うことを原則にしている。実際、「公用文作成の考え方」でも「、」を使う方針の言及がある。

この解説の表記は、従来の公用文表記の基準に従っている。ただし、読点については、建議が新たに示す考え方に基づき「、」(テン)を用いている。

イ 「・」(ナカテン)は、並列する語、外来語や人名などの区切り、箇条書の冒頭等に用いる。

単語を並列で書くときに で迷うことが多いので、参考になる

◯: 光の三原色は赤・緑・青である。

✗: 光の三原色は赤、緑、青である。

ウ 括弧は、()(丸括弧)と「」(かぎ括弧)を用いることを基本とする。()や「」の中に、更に()や「」を用いる場合にも、そのまま重ねて用いる。

括弧を入れ子で使っていいか迷うことがあったけれど、安心して使える!

後述の 「カ」「キ」の情報も合わせた表:

()「」基本
『』「」の中で使う
【】強調するときに使う
それ以外むやみに使わない

エ 括弧の中で文が終わる場合には、句点(。)を打つ。ただし、引用部分や文以外(名詞、 単語としての使用、強調表現、日付等)に用いる場合には打たない。また、文が名詞で 終わる場合にも打たない。

後述の 「オ」「キ」の情報も合わせた表:

状況句点を打つ/打たない
括弧の中で文が終わる場合句点を打つ(以下「基本計画」という。) 「決める。」と発言した。
引用部分や文以外(名詞、単語としての使用、強調表現、日付等)に括弧を用いる場合句点を打たない議事録に「決める」との発言があった。 「決める」という動詞を使う。
括弧内の文が名詞で終わる場合句点を打たない(例がない)
文末に括弧があり、それが部分的な注釈である場合括弧の後に句点を打つ当事業は一時休止を決定した。ただし、年内にも再開を予定している(日程は未定である。)。
文末に括弧があり、二つ以上の文、または文章全体の注釈である場合最後の文と括弧の間に句点を打つ当事業は一時休止を決定した。ただし、年内にも再開を予定している。(別紙として、決定に 至った経緯に関する資料を付した。)
そこで文が終わっていることがはっきりしている場合括弧内の句点を省略することがある年内にも再開を予定しています(日程は未定です)。

オ 文末にある括弧と句点の関係を使い分ける。文末に括弧がある場合、それが部分的な 注釈であれば閉じた括弧の後に句点を打つ。二つ以上の文、又は、文章全体の注釈であ れば、最後の文と括弧の間に句点を打つ。

(略)

カ 【 】(隅付き括弧)は、項目を示したり、強調すべき点を目立たせたりする。

(略)

キ そのほかの括弧等はむやみに用いず、必要な場合は用法を統一して使用する。

(略)

(2)様々な符号の使い方

ア 解説・広報等においては、必要に応じて「?」「!」を用いてよい。

必要なケース:

  • 「?」を用いないと意味が通じない
  • 「!」を用いた方がより明快に伝わる

「?」「!」の後に文が続く場合には、全角又は半角1文字分空ける。

空けた方がいいんだ?! 気をつけよう!

イ 他の符号を用いる場合には、文書内で用法を統一し、濫用を避ける。

他の符号の例:

  • :
  • ~
  • ...
  • *
  • /

ウ 矢印や箇条書等の冒頭に用いる符号は、文書内で用法を統一して使う。

(no comment)

エ 単位を表す符号を用いる場合は、文書内で用法を統一して使う。

(no comment)

6 そのほか、次の点に留意する

ア 文の書き出しや改行したときには、原則として1字下げする。

1字下げをすることによって行頭に余白が生まれるので、視覚的に段落と段落の区別がしやすくなります。

ref: モリサワ  note編集部 - 段落の字下げを行う理由を知ろう

字下げは段落を分かりやすくするためのものなので、

  • 原則、一字下げする
  • メール、SNS は(段落を意識することがないから(本当か?))なくても良い
  • 字下げ以外の方法(段落間を広く空ける)でも良い

イ 繰り返し符号は、「々」のみを用いる。2字以上の繰り返しはそのまま書く。

(no comment)

ウ 項目の細別と階層については、例えば次のような順序を用いる。

(no comment)

エ ローマ字(ラテン文字。いわゆるアル􏰁ァベットを指す。)を用いるときには、全角・ 半角を適切に使い分ける。

「適切」=「全角・半角の使い分けを文書内で統一する」

オ 日本人の姓名をローマ字で示すときには、差し支えのない限り「姓―名」の順に表記 する。姓と名を明確に区別させる必要がある場合には、姓を全て大文字とし(YAMADA Haruo)、「姓―名」の構造を示す。

グローバル社会の進展に伴い,人類の持つ言語や文化の多様性を人類全体が意識し,生かしていくことがますます重要となっており,

(略)

公用文等において,日本人の姓名をローマ字表記する際は,原則として「姓―名」の順で表記する

ref: 公用文等における日本人の姓名のローマ字表記について

カ 電子的な情報交換では、内容が意図するとおりに伝わるよう留意する。

「意図するとおり」=「文字化けしない」

キ 読みやすい印刷文字を選ぶ。

書体・色・大きさに気をつける

ク 略語は、元になった用語を示してから用い、必要に応じて説明を添える。

例)クオリティー・オブ・ライフ(Quality of Life 。以下「QOL」という。)

ケ 図表を効果的に用いる。図表には、分かりやすい位置に標題を付ける。

「効果的」=

  • グラフ
    • 軸の名前、凡例が書かれている
    • 適切なグラフの種類を選択している
    • 列間や行間に余裕がある
  • 共通
    • 一目で内容が分かる
    • 内容を一言で表現するタイトル、説明がある
    • 配色
      • 色覚の多様性に配慮している
      • 印刷を考慮して多色を用いない
      • 白黒になることも想定している
    • 四角で囲んで強調しても良い